第十五回『ゴールデンスランバー』おぼろレビュー、最後に出てくる人の好さ。

第十五回おぼろレビュー
『ゴールデンスランバー』 原作:伊坂幸太郎 主演:堺雅人

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正直、これ…ちょっとわからなかったんです。

まず物語を整理します。
※以後、すぐネタばれ要素すぐ出てくると思います※

主人公の人が、ずん(北の国から)に久々に会った。
その時、表通りでは首相だかなんだかのパレード中。
で、車がぼん!して、首相暗殺の容疑をかけられて逃げ続ける…

逃亡中に命狙われたり、いろんな人に出会ったり、濱田岳氏が死んじゃったりして、わーわーするんだけど、最後整形して終わり…

だったかと思います。

確か花火も上がってたかと思います。

確かそんな感じ。
パッと文字だけ並べると、だいぶ何でもない話だと思います。
容疑をかけられて、それを払拭する事もなく、自らを消してそのまま逃亡生活…続行、なわけじゃないですか。

始まりと最後だけ見ると、…で?となる様な話なんじゃないかなって思います。

それがなんだか、面白いんです。

まずは普通の人を普通じゃないところへ

正直、これわからない…と申し上げたのですが、それってごくごく当たり前の事だと思うのです。
何も知らない平凡で人の好さそうな主人公が、久々に友人に会ったと思ったら暗殺容疑をかけられるわけですよね。

なかなかお目にかかれないシチュエーションだと思うのです。

正直わからないのは観客の誰かではなく、主人公とその知人だって同じ事…むしろそちらの方がわからない率高いですよね。

自分、わからないなー…と思いながら、何気なく見て、なんだこうなるのか…とは言いつつも最後までじっくり見てしまったんです。
まんまと術中にはまってたんですよね。

おそるべき、伊坂ワールドだと思いました。

めくるめく魅力的な登場人物

今ではご無沙汰になってしまいましたが、伊坂氏の作品かなり読んでました。

友人に勧められて、『週末のフール』を読んだのがきっかけだったんです。
それから『オーデュポンの祈り』『重力ピエロ』『ラッシュライフ』…などなど、ほぼ買って読みました。

小説で一番好きなのは、『砂漠』です。
ちょうど大学を卒業した後に読んだので、感慨深かったですね。

どれもこれもなんですけど、伊坂氏の作品って登場人物が皆それぞれ面白いんですよね。

今回のゴールデンスランバーも、魅力的な登場人物がたくさんいました。
で、それぞれの登場人物へのキャスティングがばっちりなんですよね。

これがただの逃亡劇だったら、そっかー…大変だなーって思うくらいだと思うのですが、いろんな癖のある登場人物が出て来て展開がめまぐるしいので、飽きる事がないんだと思います。

自分はキルオと小鳩沢の癖のある戦闘シーンが今までにない感じで素敵だと思いました。

最後に勝つのは人の好さ

今までこういった逃亡劇がたくさんあったと思います。

どれも、だいたい…主人公が超人的、あるいはすごく運がいい…のどちらかかなって思うんです。

自分がこの作品を見ていて思ったのは、上記のどちらでもなかったです。

主人公の逃亡がうまくいったのって、主人公の人柄だったと思うんですよね。
普通にいい人…だったじゃないですか。

普通にいい人だった結果、信じてもらえたり、助けてもらったりしてたわけですよね。
最終的には人柄っていうのがいざという時に出てくるんじゃないかなって思いました。

他人事、空想と思って眺めていた物事よりも、もっと悲惨な事が自分に起きるかもしれません。

そういう時に力になってもらえる様な生き方をしていきたいなって思いました。
でも、わざとらしくやると恩着せがましくなってしまうので、何事もほどほどに。

積極的にではないですが、『いい人』がじわっとにじみ出てきてしまう。
そんな風になりたいなって、レビューを書いてて思いました。

隣の席を中心に、世界中でちょっとずつ『いい物事』が出回っていきます様に。

よしなに。

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