【皆来文書】日光修学旅行の夜、の、その後【スナック茜もどき】

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ママ…一杯、飲ませてよ。

ここは哀しい女が集う『スナック茜』
今夜も焼酎とレゲェパンチで喉を傷めた茜ママのもとにお客さんが。
『ママ、濃いめのカルーアミルクを…。』
お客さんはミナライちゃんでした。
酔ったミナライちゃん、どんなお話を聞かせてくれるのでしょうか。

日光修学旅行の夜、の、その後

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「Sくんが私のこと好きかもしれない」

1度だって想像すらしたことがなかったこのことが、急に私の中の大事件となった。
あの、修学旅行の夜から。

あの後はふつうに旅行を楽しんで、帰ってきた。
それからの日々も、Sくんとクラスは違ったままだし、これまでとなにも変わらない、と思っていた。
けれど、そうではなかった。
ある日、気づいたの。

たまーにあるでしょ、学年集会だったり、全校集会って日が。
その時って、クラスごとに男女一列ずつで背の順で並ぶわよね。私の小学校では、そうだった。
もう、気付いた人もいると思う。
その集会の時、私のすぐ左隣は、あの、Sくんだった。

その時の私の動揺っぷりは、もうはんぱじゃなかった。
すぐ後ろの友人といつもお喋りしていたのだけど、きっと、2トーン位上がってた。
もう、左側が気になって気になって。
このお喋りももしかして聞かれてるかも!?なんて自意識過剰にもなって。

集会のたび、そんなかんじになった。

これだけSくんのこと気になるってことは、私やっぱり、ちょっといいな、と思ったんだと思う。

それからある日、習い事の教室で。
私はいつも通り、空いている席へ座ったの。
するとそのしばらく後に、隣の席に誰かが戻ってきた。
なんと、Sくんだった。

すると隣の私に気が付いたSくんは、ものすごい勢いで、席の左端=私の逆サイド(長机なの)へ寄った。
まるで、ひざでスライディングするみたいに。
ちょこっと、傷ついたわ。

Sくんとの思い出といったら、それくらい。
そうなの、単純に、私が意識していただけだった。

あれからもう十何年。
つい最近、風の便りで聞いたの。
Sくんは結婚して、もうパパにもなってる、って。

小学6年生の頃なんて、遠い昔。
そしてその当時、Sくんが私のこと好きだったかどうかなんて、本当かどうかもわからない。
ただのうわさだったのかもしれない。

けれど・・・けれど私、ちょっと淋しい、とか、ちょっと複雑、とか、
そんなこと、思わない。
思わないんだから。

でも最後にこれだけは言わせて。

私、Sくんのお母さんととても仲よしだった。

なぜかって?
それは女の秘密、そういうことにさせてもらうわ。

では ごきげんよう。

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