【スナック茜】スタンド、バイミー。

ようこそ、いらっしゃい。スナック茜へ。

会社の総務部（一人）を一人で切り盛りしている茜ママ。
今週はドラえもんの映画『STAND BY ME ドラえもん』を地上波で放映するそうですね。
茜ママにドラえもんの秘密道具で何がいいか聞いてみました。
道具とは関係のない悲しいお話を茜ママがしてくれました。

スタンド、バイミー。

ドラえもんをね、見せてもらえない家だったの。

母が見せてくれなかったの。
理由は、母がのび太くんにイラついていたから。

出木杉くんのことを嫌っていたのなら、見せてもらっていたと思う。
あの子、出現頻度が低いから。準レギュラーよね。たしか。

でも、出木杉くんが嫌いな大人ってなかなかいないわよね。
話を聞く限りだと、出木杉君…私はとても好きになれないタイプだけど。

ドラえもんを見せてもらえなかった私は秘密道具をほとんど知らずに生きている。

何個かは知ってるの。

タケコプター。
どこでもドア。
歌に出てくる道具のみね。

うん、歌はうたえるのよ。
小学校の時、うたわされなかった？

帰り道に。
友達と並んで。
うたいながら帰るの。

私もうたった。
見たことなかったけど。

私は本物を知らないのに、ドラえもんの歌というオードブルだけを延々とうたわされていたの。

そんな私が子供時代に閲覧許可をいただいていたアニメ。

それは『北斗の拳』と『小公女セーラ』だった。

ドラえもんがNGで、北斗の拳がOKな一家だった。
多分だけど、母が強い男…ケンシロウを好きだったからなんじゃないかって今は思うの。

だから、私は北斗の拳に興味はなかったけど『一緒に観なさい』って母の隣に座らされて見てた。

興味なかったんじゃない。

私は北斗の拳が好きではなかった。
あたたたたた。

セーラも観なさいって言われて見てたくち。

あんまり好きじゃなかったの。
すごく…すごく物語が進まないじゃない。

一進一退。
いつまでこの子、いじめられるのかしら…って。

それよりも、一話完結でちょっと笑っちゃうドラえもんを私は所望していた。
でも、見せてもらえなかった。
のび太が私の母をイラつかせるから。

今ならね、見れるの。
大人になったし。

だけど、久々に見たドラえもんは声が変わってた。

なんだか寂しい気持ちになって、私は心を無にした。

声が変わったっていっても、もう十年以上も前の話なのにね。

ドラえもん、見ていないのに私だけ未来にタイムスリップしている。
いつだって必要な時に、ドラえもんは私のそばにいない。

スタンド、バイミー。
プリーズ…

スタンド、バイミー、ドラえもん。

 
かしこ。