【スナック茜】おかあさんといっしょ。

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ようこそ、いらっしゃい。スナック茜へ。

会社の総務部(一人)を一人で切り盛りしている茜ママ。
いつもママ、ママって呼ばれてるんだけど…お母さんじゃないのよね、なんてこぼすママ。
今日はどんなお話が聞けるでしょうか。

おかあさんといっしょ。

前にも話したことがあるけど、保育士をやってたのね。
私、子供好きだし。

でも、他人の子でお仕事だから好きっていうところはあったかも。

冗談よ。
甥っ子にとっても甘い茜おばちゃんだもの。

でも、甥っ子にはおばちゃんって言わないようにしつけてる。

話がそれちゃったわね。
ごめんなさい、甥っ子の話に夢中になっちゃって。

もう保育園や幼稚園でもプール開きってしたわよね。
最初、顔を水につけられなかったっていう子がちょっとずつ泳げるようになっていくのって、感動しちゃうのよ。

あんなに泣いてたのに…今はプール大好きなんだ…って。

その年の夏もプールが開かれた。
私がいたところだけかもしれないけど、何故か先生たちも子供たちと一緒のお部屋でお着替えするのね。

そう。
服から水着に。

家から着ていくっていう手もあった。

でも汗で水着が染みて…とかを考えると、教室で着替えた方が楽だった。

ほら…スクール水着みたいな地味なやつなのね。
仕事だから。
おしゃれな水着なんてね…。ましてやビキニなんて…。

タオルを巻いて、子供たちの前で生着替え。

子供たちはそこここで着替えてた。
ちょっと恥じらいつつ、でもどうせ子供たちだしとも思いつつ。

私は何気なく着替えていた。

その子が這いずり寄ってくることも知らずに。

ふいに、目があった子がいたの。

私は前かがみになっていて、床を見てた。
でも、目があった。
男の子だった。

ほふく前進でこっそり来たみたい。

今まさに着替えて、タオルの下は『無』という状態の中、彼は私を見上げて言った。

『おかあさんといっしょ。』

よかった…『おとうさんといっしょ』じゃなくて。

いつか彼に彼女ができた時に、この時のことを思い出して悔いればいい…って思う。
かしこ。

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