【スナック茜】もう一つの甲子園。

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ようこそ、いらっしゃい。スナック茜へ。

会社の総務部(一人)を一人で切り盛りしている茜ママ。
夏の野球大会、球児たちが暑い中、闘志を燃やしていますね。
そんな甲子園云々とは全く関係ない話を茜ママがしてくれました。

もう一つの甲子園。

ちょうどこれくらいの時期だった。

夏休みに彼とお出かけ。

あ、彼?
彼は白ビキニの時の彼。
そうそう、サーカスで鞄を持っていてくれた彼ね。

シックスパックの彼と大磯ロングビーチへ行ったの。

海じゃないのはわかってた。
でも、白いビキニでは何に侵入されるかわからない!っていうのがわかったから、黒の水着で行ったの。

どうして黒かって?
黒は女を美しくするって、『魔女の宅急便』で言ってたからよ。

一泊二日でね、すごく楽しかった。
彼は段取りを全部してくれたの。
それがとてもよくて…パーフェクトな夏の日を過ごしたの。
楽しかった…。

そんな、夏のバカンス。
甲子園に住んでいる魔物が、どういうわけか私たちの帰り道の車の中に出現したの。

悪夢だった。

パーフェクトに続いていた大磯ロングビーチの一泊二日の帰り道、渋滞にはまったの。

すごい渋滞。
でも、これくらい仕方ないよねって思ってた。

あれだけパーフェクトな時間を作ってくれたんだし、私は渋滞くらい我慢できちゃう☆って。

そこで我慢ができなかったのが、彼の膀胱(ぼうこう)。

出発して一時間くらいだった。
例の渋滞にはまって、私たちは動けなくなった。

その時に彼の膀胱が悲鳴をあげたの。
もちろん、彼も悲鳴をあげた。

私はうながしたの。

すぐそこの路肩に車を一時停止して、放とうって。

でも、彼は断固として断るの。

どうして?
男なんだから、その辺でしてもいいでしょうよ。
彼はかたくなに拒否した。

そんな問答を繰り広げて、30分ほど経過した。

ついに彼に限界が訪れようとしていた。

彼はおもむろに言ったの。

『キャッチ…しろ。』

私はすぐにその言葉の真意を生まれてから今までに出会った幾多の経験を交えて、どういう意味なのかを理解しようとした。

嘘よ。
本当はわかってたの。

キャッチね。
受け止めろってことね。

わかってたけど、私は一瞬わからないふりをした。

その一瞬でさえ、悠久の地獄と化している彼の前で。

私は無になった。
無になって、彼にペットボトルを差し出した。
そしたら怒られた。

『サイズが合わねぇんだよ!』

じゃあ、どうしたらいいのよ。
私は全世界のペットボトルを恨んだ。
もう少し、大きいサイズに何故してくれなかったのか、と。

私がもしいつぞやの彼のように魔法が使えたら、このペットボトルの入り口を広げるのに…。

そして、用意されたのがコンビニのビニール袋だった。

コンビニでくれる中くらいのビニール袋だった。

人間は通常手が二本しかないの。
車の運転でね、彼の両手はふさがってた。
ふさがってるはずなのに、彼は器用に引き出したの。

そして、私が受け止める役。
タッチでいうところのこーたろーね。

でも、私の上杉達也はとんだ魔球を投げるピッチャーだったの。

暴れた。

袋はそこそこ大きいはずだった。
キャッチャーとして申し分ない大きさだった。
なのに暴れた。

甲子園の魔物は、車内(ここ)で魔球を存分に放っていった。

渋滞が終わった。

どれくらい私は彼のをキャッチしたまま持っていたのだろう。

無になってた。
袋に入った彼の名残とともに無になってた。

コンビニについたから、捨てることにしたの。

私は彼に尋ねたわ。

『ねぇ…これって…燃えるゴミかな?』
かしこ。

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